結論から言うと、オーストリアで詰まるのは電波ではなく「手続き」です。欧州委員会の 2025 年 Digital Decade カントリーレポートによれば、オーストリアの 5G は可住地域の 99.5% をカバーしており、travel eSIM がどの網に載っても体感で困る場面はまずありません。問題は 2 つあります。1 つ目は、オーストリアでは 2019 年 1 月 1 日から、すべての SIM が本人確認済みの契約者に紐づけられていること。匿名のプリペイド SIM は制度として存在せず、現地で SIM を買うなら店頭で身分証を出して登録を済ませる必要があります。2 つ目は、オーストリアには 3G がもう存在しないこと——規制当局 RTR は「オーストリアに 3G ネットワークはもう無い」と明言しており、残るのは 2G と 4G/5G だけ。つまり VoLTE に対応していない予備機は、アンテナが立っていても通話が成立しません。日本人固有の事情として、ahamo はオーストリアを追加料金なしの対象に含んでおり、15 日ルールを超えるかどうかが分岐点になります。以下、公的資料で順に整理します。

オーストリアって、通信で困ることありますか?

電波はまず困りません。欧州委員会の 2025 年レポートで 5G が可住地域の 99.5%。ヨーロッパでも上位のカバー率です。

じゃあ現地で SIM を買えばいいだけですか?

そこが落とし穴で、オーストリアは 2019 年から SIM の実名登録が義務なんです。匿名のプリペイドは制度上存在しません。

登録って、旅行者でもできるんですか?

身分証を提示すれば可能です。ただ店頭に行って手続きする時間が要る。そこを買っているのが travel eSIM です。

あと注意することはありますか?

3G が全廃されている点です。RTR も「もう 3G は無い」と言っていて、VoLTE 非対応の古い予備機は通話できません。
このページで分かること: 日本人がオーストリアで eSIM を使うときに私 (sasapy) が先に確認しているのは、(1) 5G が可住地域の 99.5% という「網を選ぶ意味がほぼ無い」構図、(2) 2019 年から続く SIM の実名登録義務——現地 SIM を買うなら必ず通る手続きと、travel eSIM がそれを回避できる理由、(3) 3G 全廃と VoLTE 必須という端末側の前提、(4) ahamo はオーストリア対応という日本人固有の事情と、それでも eSIM を足すべき条件 (15 日ルール / 30GB / テザリング)、(5) EES (欧州の出入国システム) が 2026 年 4 月 10 日から本格運用に入ったこと、日墺の査証免除が「6 か月」でもシェンゲンの 90/180 日ルールが効くこと、(6) 山岳部の通信と SOS-EU-ALP、(7) オーストリアが現金決済の比率が高い国である現実 (中央銀行 OeNB 調査で POS 取引の 55%)、(8) 容量別の実売価格 (クーポン適用後) と端末の前提——の 8 点です。
- オーストリアの電波は選択基準にならない——5G は可住地域の 99.5%
- 本当の分かれ目は「SIM の実名登録義務」——匿名プリペイドが存在しない国
- 3G はもう存在しない——VoLTE 非対応の予備機は「圏内なのに通話できない」
- 日本人固有の分岐点——ahamo は対応、それでも eSIM を足す条件
- 入国側の変化——EES が 2026 年 4 月 10 日から本格運用、査証免除の「6 か月」の読み方
- 山とアプリ——SOS-EU-ALP、緊急番号、そして「現金が強い国」であること
- 推奨 eSIM 3 選——Saily / Nomad / esim4travel の使い分け
- 容量の目安と、買う前の 3 分チェック
- よくある質問
- まとめ——電波ではなく「手続き」で決まる国
- 参考文献
オーストリアの電波は選択基準にならない——5G は可住地域の 99.5%
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多くの国の eSIM 記事は「どの網に載るか」で結論が変わります。オーストリアはそこが違います。欧州委員会が公表している Austria 2025 Digital Decade country report によれば、オーストリアの 5G は可住地域 (populated areas) の 99.5% をカバーしています。固定回線側は FTTP が世帯の 41% (EU 平均 64%) と遅れているのに、モバイルだけは EU の目標水準に到達している——これがこの国の通信の輪郭です。
実務的な意味はシンプルで、「travel eSIM がどのキャリアに載るか」を悩む必要がほとんど無いということです。オーストリアの網は A1 / Magenta (旧 T-Mobile) / Drei (3) の 3 社。eSIMDB のオーストリア向けプラン一覧を見ると、esim4travel のように商品名で 「Austria (Magenta/T-Mobile, 3, A1)」 と接続先を明示しているプランもありますが、どこに載っても都市部・観光地・主要鉄道沿線では体感差は出ません。
差が出るのは山です。カバー率は「可住地域」の指標なので、氷河・稜線・登山道・山小屋の一部は最初から数字の外側にあります。ウィーン・ザルツブルク・ハルシュタットの観光動線なら心配は不要で、ハイキングやスキーで谷から外れるときだけ「圏外がある前提」で組む——これがオーストリアでの正しい線の引き方です。

じゃあ本当に、どの eSIM を買っても同じなんですか?

都市と観光地に限れば、ほぼそう考えて大丈夫です。差が出るのは山の中で、そこはどの網でも同じように切れます。
本当の分かれ目は「SIM の実名登録義務」——匿名プリペイドが存在しない国
オーストリアの通信で日本と決定的に違うのが、ここです。規制当局 RTR (Rundfunk und Telekom Regulierungs-GmbH) の案内によれば、オーストリアでは 2019 年 1 月 1 日以降、プリペイド (Wertkarte) を含むすべての回線について、契約者の身元を事業者が確認・記録することが義務づけられています。根拠は電気通信法に基づく Identifikationsverordnung (識別規則) で、氏名・学位・生年月日の記録が求められ、確認方法は店頭での身分証提示、金融機関経由の確認、ウェブカメラによるフォトイデント等です。事業者が確認を怠った場合の制裁金は最大 5 万ユーロと定められています。
旅行者にとっての意味は 2 つあります。
- 「空港で SIM を買ってその場で挿す」だけでは終わらない——購入時にパスポートを出し、登録手続きを通す必要があります。手続き自体は難しくありませんが、到着直後の疲れた頭で、営業時間内に、店員とやり取りする時間が要ります。
- 匿名で買う道は制度として存在しない——「安いから量販店で適当に買う」という選択肢は最初からありません。2019 年 9 月 1 日以降、未登録のカードはチャージも継続利用もできない扱いになりました。
ここが travel eSIM の存在意義です。travel eSIM はオーストリア国外で発行された回線をローミングで使う形なので、オーストリアの登録義務の外側にあります。私がヨーロッパに入るときの基本形は、出発前に eSIM をインストールしておき、着陸したら機内モードを切るだけ。空港のカウンターを探さない、書類を書かない、これが一番の価値です。
逆に、現地 SIM のほうが合理的なケースもはっきりしています。オーストリアの現地プリペイドは絶対額が非常に安く、たとえば HoT の月額 5.90 ユーロで 10GB といった水準の料金が普通に存在します。1 ヶ月以上滞在する、オーストリアの電話番号が要る、大量に通信する——このいずれかなら、登録の手間を払ってでも現地 SIM が正解です。短期旅行なら、単価ではなく時間を買うと割り切ってください。

パスポートさえ出せば、旅行者でも買えるんですね。

買えます。ただ店頭に行く時間が要る。1 週間の旅行でそれをやる価値があるかは、別の話です。
3G はもう存在しない——VoLTE 非対応の予備機は「圏内なのに通話できない」
端末側で唯一きちんと確認すべきなのがこれです。RTR の 古い移動通信技術の停波に関する案内は、「オーストリアにはもう 3G ネットワークは無い」と明記しています。3 社の停波は 2024 年から進み、2025 年半ばまでに完了しました。残っているのは 2G (音声と警報装置などの制御用) と 4G / 5G だけで、2G についても各社の予告ベースで 2028 年前後から順次停波が始まる見込みです。
これが旅行者に効いてくる形は、いつも同じです。
- VoLTE (LTE 上の音声通話) に対応していない端末は、通話が成立しない——データは 4G で流れているのに、発信すると繋がらない。RTR 自身が「新しい端末を買うときは、その事業者の網で VoLTE に対応しているか確認せよ」と案内しています。
- 3G にしか対応していない古い予備機は、そもそも圏外——日本で使わなくなった端末を「旅行用サブ機」にしている人は要注意です。
- 周波数は日本の端末で十分——オーストリアの LTE / 5G は B1 / B3 / B7 / B20 / B28 と n78 が中心で、日本国内向けの現行機ならまず問題ありません。B20 (800MHz) と n78 に対応していると、山間部と 5G で有利です。
私の運用は単純で、メイン機に travel eSIM、通話は VoLTE 対応を確認済みの端末だけで行う。古い予備機はカメラと Wi-Fi 専用と割り切っています。

古い iPhone を予備に持っていこうと思っていました。

Wi-Fi 用ならいいですが、通話の予備としては期待しないほうがいいです。3G が無い国では VoLTE 非対応機は無力なので。
日本人固有の分岐点——ahamo は対応、それでも eSIM を足す条件
ここが日本人読者にとって最も判断が分かれるところです。ahamo の海外データ通信は 91 の国・地域を「追加料金なし」の対象にしており、オーストリアはヨーロッパの対象国として含まれています。つまり ahamo ユーザーは、何もしなくてもウィーンで通信できてしまう。
そのうえで、ahamo だけで足りるのかを分ける条件は次の 3 つです。
- 滞在が 15 日を超えるか——海外でデータ通信を開始した日 (日本時間) を起算日として、15 日経過後の日本時間 0 時以降、速度は最大 128kbps に制限されます。長期滞在やワーケーションではここで詰みます。
- 海外の 30GB で足りるか——ahamo の海外利用は月 30GB が上限で、国内向けの大盛りオプションを付けても海外側の上限は 30GB のままです。
- PC でのテザリングを常用するか——カフェや宿から仕事をする前提なら、回線を分けたほうが事故が起きにくい。オーストリアは宿の Wi-Fi が概して良好ですが、山のホテルは例外もあります。
私の整理は、1 週間以内の観光で ahamo ユーザーなら eSIM は不要、2 週間を超える / PC 作業がある / ahamo 以外の回線なら eSIM を足す、です。特にオーストリアは ドイツ・チェコ・スロバキア・ハンガリー・イタリアへ抜ける周遊の起点になりやすいので、その場合は最初からヨーロッパ地域プランを選ぶほうが安く済みます。
入国側の変化——EES が 2026 年 4 月 10 日から本格運用、査証免除の「6 か月」の読み方
通信の準備と同じタイミングで頭に入れておきたいのが、ヨーロッパ側の入国手続きの変更です。欧州委員会 (Migration and Home Affairs) の Entry/Exit System (EES) の案内によれば、EES は 2025 年 10 月 12 日から段階的に導入され、2026 年 4 月 10 日に全面運用となり、パスポートへのスタンプ押印を置き換えました。対象はシェンゲン圏 29 か国に短期滞在で入域する第三国国民 (日本人を含む) で、顔画像と指紋を含む生体情報と、氏名・旅券情報・出入国の日時が登録されます。
旅行者としての実務は 2 点です。初回入国時の手続きに時間がかかることを見込んでおくこと (乗り継ぎ時間を厚めに取る)、そして ETIAS (渡航認証) はまだ稼働していない——2026 年後半の開始が見込まれている段階であることです。制度の状況は変わり得るので、渡航直前に公式で確認してください。
査証の側は、日本人にとって少し特殊です。外務省の安全対策基礎データ (オーストリア) によれば、日本とオーストリアの間には二国間の査証免除取極があり、観光目的なら 6 か月以内の滞在まで査証が免除されます。ただしこれはオーストリアとの間でのみ有効で、シェンゲン協定の「あらゆる 180 日の期間内で最大 90 日」という規定は別に効いています。90 日を超えて滞在した後にシェンゲン圏の他国を経由して帰国する場合は、事前に経由国の当局へ相談するよう案内されています。「6 か月いられる」と単純に読まないのが正解です。

6 か月 OK なら、90 日を気にしなくていいのでは?

そこが誤解の多いところです。オーストリア単独では 6 か月、でもシェンゲン全体では 90/180 日。他国を経由するとその規定に当たります。
山とアプリ——SOS-EU-ALP、緊急番号、そして「現金が強い国」であること
オーストリア旅行で通信が本当に効いてくるのは、実は山です。チロル州の指令センターが提供する SOS-EU-ALP アプリは、ボタン一つで GPS の位置情報をチロル・南チロル・バイエルンの指令センターへ送信しながら通話を確立します。インターネットに繋がらない場所では SMS で緊急通報を送るフォールバックも用意されています (この 3 地域の外では、位置情報を送らず 112 に発信する動作になります)。山に入る予定があるなら、出発前にインストールしてテスト起動まで済ませておく——これは現地の山岳救助側が公式に推奨している運用です。
緊急番号は、ヨーロッパ共通の 112 と、山岳救助 (Bergrettung) の 140。112 は SIM が無くても、契約が切れていても発信できます。
もう一つ、日本人が意外に思うのが現金の強さです。オーストリア国立銀行 (OeNB) が 2026 年 4 月 29 日に公表した Zahlungsmittelstudie 2025 (決済手段調査) によれば、実店舗での支払いの 55% が現金 (2022 年の 63% から低下)、金額ベースでも 45% が現金。Apple Pay / Google Pay 等のウォレット決済は 8% にとどまり、回答者の 94% が「現金を手放したくない」と答えています。つまりオーストリアでは、スマホは「財布」ではなく「地図と切符とカメラ」。小さなカフェや山小屋、公衆トイレでは現金しか使えない場面が普通にあるので、ユーロの現金は必ず持ち歩いてください。
逆にスマホが強いのは移動です。ÖBB (オーストリア連邦鉄道) の公式アプリで長距離列車の切符を買え、ウィーンでは WienMobil アプリで地下鉄・トラム・バスの乗車券が完結します。切符は駅の券売機に並ばずスマホで買うのが標準で、ここに通信が要る。1 日あたりの通信量は小さいですが、「切符が買えない = 移動できない」という意味で、通信の重要度は高いほうです。

山に行かないなら、そこまで神経質にならなくていいですか?

都市だけなら気楽で大丈夫です。ただ切符がアプリ前提なので、通信が切れると移動が止まる。そこだけ意識してください。
推奨 eSIM 3 選——Saily / Nomad / esim4travel の使い分け
オーストリアは網の質で選ぶ必要がない国なので、選定軸は価格・容量の刻み・周遊対応の 3 つに絞れます。以下は 2026 年 8 月時点のオーストリア単独プランの代表値です。
容量別 価格比較 (オーストリア単独プラン / 定価 → クーポン後)
| 容量 / 有効期間 | Saily | Nomad | esim4travel |
|---|---|---|---|
| 1 GB (7日) | $3.99 ※クーポン対象外 | $4.50 ※クーポン対象外 | $1.54 → $1.39 |
| 3 GB (30日) | $5.99 → $0.99 | $9.00 → $4.00 | $3.21 → $2.89 |
| 5 GB (30日) | $7.99 → $2.99 | $12.50 → $7.50 | $4.75 → $4.28 |
| 10 GB (30日) | $10.99 → $5.99 | $14.00 → $9.00 | $8.60 → $7.74 |
| 20 GB (30日) | $15.99 → $10.99 | $19.00 → $14.00 | $16.28 → $14.65 |
「定価 $X → クーポン後 $Y」表記の太字 $Y が実際の購入価格です。「※クーポン対象外」は定価が各社の最低クーポン利用金額に満たないケースを指します。いずれもオーストリア単独プランの代表値で、実際の在庫・価格は各社公式が優先します。参考として、オーストリアの現地プリペイドは月 10GB クラスで 6 ユーロ前後という水準です。単価だけなら現地 SIM が安く、travel eSIM が買っているのは「登録手続きをしないで済む時間」だと理解してください。
クーポンコード一覧 (2026 年 8 月時点有効)
- Saily: クーポン
CAIRNR6205で $5 OFF - Nomad: クーポン
ILEXBDNSXSBAで $5 OFF - esim4travel: クーポン
cairnroam(取得準備中)で 10% OFF
クーポン適用条件は各社公式 T&C に沿っています。Saily (公式 T&C) は定価 5.60 米ドル未満・初回購入のみ・併用不可、Nomad (公式 referral 規約) は定価 5 米ドル未満に適用不可。オーストリアは 1GB プランがどちらも安いため、この 2 社では最小プランがクーポン対象外になります。
Saily——3GB がクーポン後 Saily——3GB がクーポン後 $0.99、初めての eSIM に
.99、初めての eSIM に
Saily は NordVPN を運営する Nord Security 系列で、本社は EU 域内のリトアニア・ヴィリニュスにあります。EU の一般データ保護規則 (GDPR) の枠組みで運営され、広告・マルウェアのブロック機能がアプリに内蔵されているので、カフェや駅の公共 Wi-Fi に頼る回数を減らせます。価格面でもオーストリアは強く、3GB / 30 日がクーポン後 $0.99、5GB でも $2.99。ウィーン + ザルツブルクの 4〜5 日なら、まずここです。
Nomad——長期滞在と無制限系、周遊の主力
Nomad はオーストリアで 50GB / 30 日 ($45.00) や、1 日 2GB の無制限系 (3 日 $11.00 / 5 日 $18.00) といった刻みを持っています。1 ヶ月のワーケーションや、PC のテザリングを常用する滞在ではここが本命です。加えて Regional Europe プランの 50GB / 30 日 ($35.00) は、オーストリアを起点にドイツ・イタリア・チェコへ抜ける周遊で単価が最も低くなる枠です。
esim4travel——短期・少容量で価格を最優先するなら
esim4travel はオーストリアで群を抜いて安いのが特徴です。1GB / 7 日がクーポン後 $1.39、3GB / 30 日でも $2.89。商品名に 「Austria (Magenta/T-Mobile, 3, A1)」 と接続先を明示したプランがあり、網を意識したい場合の選択肢にもなります。さらに 「Best Europe 41」 の 41 か国プランが 3GB / 30 日 $3.28 と、単独プランとほぼ同額。隣国に少しでも足を伸ばすなら、最初からこちらを選ぶほうが合理的です。一方でサポートの手厚さでは他社に譲るので、トラブル時に自分で切り分けられる人向けと割り切ってください。

ウィーンとプラハを回る予定なんですが、どれがいいですか?

それならヨーロッパ地域プランです。オーストリア単独とほぼ同じ値段で、国境を越えても切れませんから。
容量の目安と、買う前の 3 分チェック
オーストリアでの容量見積りは、地図・鉄道アプリ・写真のアップロードを基準に組みます。私の実測ベースの目安はこうです。
| 滞在日数 / 使い方 | 推奨容量 | 想定 |
|---|---|---|
| 2〜3 泊 / ウィーン中心 | 1〜3 GB | 地図と ÖBB / WienMobil の切符、写真は宿の Wi-Fi でアップ |
| 4〜7 泊 / ザルツブルク・ハルシュタット周遊 | 5 GB | 移動中に地図と検索、列車のチケット、翻訳を随時 |
| 7〜14 泊 / PC を併用 | 10〜20 GB | テザリングでメール・資料閲覧、オンライン会議は Wi-Fi |
| 1 ヶ月 / ワーケーション | 50 GB | Nomad の 50GB 枠 (単独 $45.00 / 欧州 $35.00) |
買う前に確認するのは 3 点だけです。(1) 端末が eSIM 対応で SIM ロックが解除されているか (日本のキャリア端末は 2021 年 10 月以降の発売分なら原則ロック無し)、(2) VoLTE に対応しているか (3G が無いので通話はこれが前提)、(3) 隣国に行くか (行くならヨーロッパ地域プラン)。この 3 つを満たしていれば、オーストリアでの通信で困ることはまずありません。
よくある質問
オーストリアで travel eSIM を使うと、現地の電話番号はもらえますか?
いいえ。この記事で扱っている travel eSIM はデータ通信専用で、オーストリアの電話番号は付きません。番号が必要な場合は現地のプリペイド SIM を検討することになりますが、その場合は 2019 年から義務化されている実名登録を店頭で通す必要があります。パスポートを提示すれば旅行者でも登録は可能です。
現地でプリペイド SIM を買うのに、身分証は本当に必要ですか?
必要です。規制当局 RTR は、2019 年 1 月 1 日以降オーストリアで販売されるすべての SIM について、事業者が契約者の身元 (氏名・学位・生年月日) を確認・記録することを義務づけていると案内しています。確認方法は店頭での身分証提示のほか、金融機関経由の確認やウェブカメラによるフォトイデントなど。匿名のプリペイド SIM は制度として存在しません。
古いスマホを予備機として持っていっても使えますか?
通話には期待しないでください。RTR は「オーストリアにはもう 3G ネットワークは無い」と明言しており、3G にしか対応していない端末は圏外になります。4G には対応していても VoLTE 非対応の端末は通話が成立しません。データ通信と Wi-Fi 用の端末と割り切るのが安全です。
ahamo を使っています。オーストリアで eSIM を追加で買う必要はありますか?
1 週間程度の観光なら多くの場合は不要です。オーストリアは ahamo の「追加料金なし」対象に含まれています。ただし (a) 滞在が 15 日を超える、(b) 海外の 30GB を超えて使う、(c) PC でテザリングを常用する——このいずれかに当てはまるなら eSIM を足したほうが安全です。15 日を超えると速度は最大 128kbps に制限されます。
EES が始まって、入国時に何が変わりましたか?
2026 年 4 月 10 日から EES が全面運用となり、パスポートへのスタンプ押印が置き換わりました。日本人を含む第三国国民は、短期滞在での入域時に顔画像と指紋を含む生体情報を登録します。初回登録には時間がかかるため、乗り継ぎ時間には余裕を持ってください。なお ETIAS (渡航認証) は本記事の更新時点でまだ稼働しておらず、2026 年後半の開始が見込まれている段階です。
まとめ——電波ではなく「手続き」で決まる国
オーストリアでの eSIM 選びは、他の多くの国と前提が違います。5G が可住地域の 99.5% を覆っているので、網の質で悩む必要はない。その代わりに、現地 SIM を買うなら 2019 年からの実名登録を必ず通るし、3G が無いので VoLTE 非対応機は通話できない。この 3 つを押さえれば、あとは価格と周遊範囲の話に落ちます。
ウィーン中心の短期なら 3GB (Saily クーポン後 $0.99 / esim4travel 同 $2.89)、ザルツブルクやハルシュタットまで回るなら 5GB、隣国に抜けるならヨーロッパ地域プラン、PC 併用の長期なら Nomad の 50GB 枠。ahamo ユーザーで 1 週間以内なら買わないという判断もあります。山に入るなら SOS-EU-ALP を出発前に、切符はアプリで、そしてユーロの現金は必ず持つ。この順で用意すれば、オーストリアでの通信は何も考えなくていい状態になります。
参考文献
- 欧州委員会 — Austria 2025 Digital Decade country report — 5G が可住地域の 99.5% をカバー、FTTP 世帯カバー率 41%、ギガビット接続 72.8% の一次データ
- RTR — Alle Telefonwertkarten müssen registriert werden — 2019 年 1 月 1 日からの SIM 実名登録義務、Identifikationsverordnung、必要な確認方法と事業者への制裁金
- RTR — 3G Sunset: the 3G switch-off — 「オーストリアに 3G ネットワークはもう無い」、2G の残存と 2028 年前後の停波見込み、VoLTE 対応の確認推奨
- 欧州委員会 Migration and Home Affairs — Entry/Exit System (EES) — 2025 年 10 月 12 日の段階導入と 2026 年 4 月 10 日の全面運用、生体情報登録とスタンプ廃止
- 欧州委員会 — Roaming: connected anywhere in the EU at no extra charge — EU / EEA の Roam Like at Home 適用範囲と、フェアユース超過時の上限料金 (2027 年に 1 ユーロ/GB へ)
- オーストリア国立銀行 (OeNB) — Zahlungsmittelstudie 2025 (2026 年 4 月 29 日公表) — 実店舗決済に占める現金の割合 55% (件数) / 45% (金額)、ウォレット決済 8%
- Leitstelle Tirol — SOS-EU-ALP アプリ — 位置情報付き緊急通報の対象地域 (チロル・南チロル・バイエルン) と、通信不能時の SMS フォールバック
- 外務省 海外安全ホームページ — オーストリア 安全対策基礎データ — 日墺二国間の査証免除 (6 か月) とシェンゲン 90/180 日規定の関係、スリ・偽警察官等の被害傾向
- eSIMDB — Austria eSIM plans — オーストリア向け各社プランの容量・有効期間・価格と、接続先網 (A1 / Magenta / Drei) の表示
- ahamo 公式 — 海外データ通信 — 追加料金なしの対象 91 の国・地域 (オーストリアを含む)、15 日ルールと海外 30GB の扱い
- Saily — 公式リファラルプログラム規約 — クーポン適用条件の一次情報
- Nomad — 公式 referral 規約 — クーポン適用条件の一次情報
最終更新日: 2026-08-29

